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【ゆれつづける】 松本次郎



松本次郎短編集 ゆれつづける (F×comics) (単行本(ソフトカバー))
松本 次郎 (著)


現在、【フリージア】で一躍有名になった著者ですが、私が最初に出会った本はこれです。
表紙は、フォトショップで加工されたもので、どことなく油彩チックである、日本画っぽくもあり、とにかく魅力的。
で、表紙に惹かれて購入、言わば「ジャケ買い」ですね。

そしてばっさり裏切られました。

表紙のしっとり落ち着いた美麗さとは打って変わって、内容は思いっきりエログロです!時折、バイオレンスです!そして女の子が可哀そうなシーンが多いです!
ダメな方にはもうこの時点で思いっきりアウト。
お好きな方にはたまらないかと。
そういった本です。

と、こんな説明をしてしまうと、この本が「ステキな表紙で無垢な青少年をドンゾコに叩き落とす漫画」みたいな印象になってしまいますが、そんなことは一切ございません。
この漫画が掲載された雑誌は、山本直樹や中村明日美子、古屋兎丸など、今をときめく性と生の漫画家が多数作品を掲載している「エロティクス・F」というものです。
この雑誌は、名前が示す通り、若干の性描写は伴うものの、作品としての完成度が高いものが多いといえます。
松本次郎のこの短編作品集も、ついついエロやグロの方向に目が行きがちですが、読後に訪れる奇妙な爽快感と、何かイケナイことをしてしまったような後ろ暗~い後味は、並大抵の漫画では到底味わえないものです。
エロをただそれだけのものだと鼻で笑ってしまっては損をします。
「生と性は、死と同様に切っても切れないものだ」と斜に構えている頽廃主義の方に是非とも!手にとって!いただきたい!!

短編集なので、えらいスピードで話が展開されていきますが、それすらも心地よく感じてしまうところに、松本次郎という作家の手腕が見受けられるのでないでしょうか。
特にどの作品もラストが秀逸です。
「ハードボイルド坂田」なんか、ハッピーな気分になれるので、初心者にオススメ(作者はそれほど気に入ってないようですが)
「サンポーラとクレゾーラ」はガスマスクを被った兄妹の日常の話なのですが、その話もラストに衝撃を受けます。
ハッピーなんだか、バッドなんだか、よくわからないけれどスカッとします。
表題作の「ゆれつづける」は、基本的に素っ裸の書道家の先生が主役です。
ちなみに担当編集者は馬(のマスクを被った?)です。
これも文句なしに面白い!素っ裸なことや馬のことは一切話の中では触れられませんが。

このように、良くも悪くも読者を裏切り続けます。
読者の心を揺さぶり続けるので、「ゆれつづける」なんてタイトルつけたんじゃあるまいか?と思ってしまうほどの作品集です。

その一筋縄ではいかない面白さは、最近の漫画作品には珍しく、読み返しに耐えるものです。
エログロは一切受け付けない!という方には絶対オススメしませんが、
「これから始めようと思って......」
「むしろバッチこい」
な方には、自信を持ってオススメしたい一冊です。
きっと、丸尾末広や速見純よりは、初心者向けかと思います(エログロな意味で)

そして最後に。
「表紙、全然関係ない」

以上。

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