旅行者の朝食 (文春文庫) (文庫)
旅行者の朝食 (文春文庫) (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
「ツバキ姫」との異名をとる著者(水分なしでもパサパサのサンドイッチをあっという間に食べられるという特技のために)が、古今東西、おもにロシアのヘンテコな食べ物について薀蓄を傾けるグルメ・エッセイ集。「生きるために食べるのではなく、食べるためにこそ生きる」をモットーに美味珍味を探索する。
料理本はレシピ・エッセイと色々読んできましたが、最近面白かった一冊はこれです。
通勤途中の駅本屋で購入しましたが、中々どうして面白いじゃありませんか!
古本屋の店員なんだから、自分のところで買えよ、という意見はこの際無視で。
だってうちに偶然在庫が無かったもんですから、ついガマン出来ずに......。
作者の米原さんは帰国子女だったり同時通訳だったり内田春菊も受賞したドゥマゴ文学賞も受賞してたりと、今までノーマークでしたが、色々とその方面では有名な方なようで......もう既に死去なさっているのが本当にもったいない方です。
いや、でも今回はそういった彼女のスゲーな、オイ。な話は置いといて、この文庫の感想に徹しますよ。
私は世界の朝食やお弁当といったものに目が無く、他にも小泉武夫や西川治なんぞも読み漁っておりますので、この本はぶっちゃけタイトル買いでした。
普通に旅行者の朝食のお話オンリーだと思っていたんですよね、浅はかなことです。
ページを開いて、いきなり「鶏が先か、卵が先か」というテーマの話が始まり、「おい、ちゃうやんけ!エッセイ?むしろコラムじゃないか!」と憤ったのもつかの間、危うく電車を降り忘れて終点まで行くんじゃないか?という勢いで読んでしまいました、いや、面白かった......。
豊富な知識や雑学がコラムに鮮やかな風味をきかせています。
男性の書く食エッセイも中々面白いものがありますが、やはりここで差が出るのでしょうかね、男性の書くものは、具体的かつ的確で、合間にあまりエピソードや空想は存在しないような気もします(下ネタや清々しいほどに滑るギャグなんかは男性の方が多いような)
米原さんの軽妙な語り口は、ただそれだけでも十分魅力的ですが、中には「こーんなこともあるんだよ......なーんちゃって☆」な話も散りばめられているので、油断して読んでいると痛い目にあいます。
「えー、違うんかい!うっかり友達に話しちゃったよ!ズコー☆」と、いった感じです。
ですが、その「実際はどうなの?この話はどう着地するの??」というハラハラ感が、食コラムには珍しく、エンターティメント性の強い作品になっていると思われます。
もちろん、単純に生唾ものの、「うわ〜うまそ〜」な描写も盛りだくさんです。
実際に米原さんが魅了された「トルコ蜜飴」の話も文句無しに美味しそうな話なのですが、事実だけにとどまらず、「ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家では、どんな甘味料が使われていたのか?」や「ちびくろサンボは本当にトラのバターでパンケーキを食べたのか?」といった、一風変わった疑問(でも、誰しも一度は考えたことがあるのでは?)に対して、思わずうなってしまうような解釈を見せてくれたりもします。
最近、ただの食エッセイには飽きたわ〜という方に、強くオススメしたい一冊ですね。
面白いのは当然のことですが、何よりこの文庫を読み終わった後、何だか自分が博識になれた気もするという、この本自体が上質なデザートのような、いい気分になれる一冊です。
旅行者の朝食 (文春文庫)
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