【TOKYO STYLE 】 都築響一




TOKYO STYLE (ちくま文庫) (文庫) 都築 響一 (著)
TOKYO STYLE (ちくま文庫)




生まれも育ちも東京のコンクリートジャングルです、という方にはこの魅力は伝わらないかもしれません。

しかし、地方出身者の自分としては、この「TOKYO STYLE」という響きからして、惹かれるわけですよ。
岡崎京子の漫画を見て、都会ってこんななんだーと夢想していたドサンコ女子に、この本はとても魅力的に映りました。
だって東京ですよ、東京の、スタイルですよ。
きっとオシャレな部屋が沢山載っているんだよなーと思って購入したのです。
が、しかし。

掲載されている部屋はどれもこれも生活感まる出し。
ゴミの山や衣服の山に巣食う獣のような家主。
また、中には「これで人が住めるの?それともロボットでも住んでるの?」と心配になるような、極力物が減らされた部屋なんかもあります。
それぞれ、どんな部屋も、匂いたつような、「人間」という生き物の気配が感じられます。

どの部屋も、余すところ無く赤裸々にフィルムにおさめられているわけですが、住人の姿はありません。
各部屋の住人をイメージするために、必要最低限の情報がページの片隅に記載されているのみです。
後は、その部屋に散らばった洋服や人形・壁に貼られたポスターなどから、そこに存在するであろう人物を想像していきます。

その所為か、しばらくページをめくっていると、まるで自分がその部屋の住人になったような気さえしてくるのです。
これは、限りなく現実味のある「理想の物件紹介」にも感じられます。

まぁ、建築の本や、間取り図なんぞをしげしげ眺めたところで、得られるのはどこか他人行儀な疎外感だけだったりします。
あの、綺麗に整理整頓されて、ナチュラルホワイトのテーブルクロスがひらめく室内に、なーんか違和感が否めない、という方にオススメの一冊です。

人間も、一匹の動物であることを、この一冊によって思い知らされます。
そこに映っているのは、部屋というよりは、「巣」です。
東京という都市の、高々6畳の部屋に、千差万別の巣が密集していると思うと、何だかぞっとするような、ワクワクするような気分になりませんか?

ちなみに、この本はよくヴィレッジバンガードなんかで見かけますから、比較的探しやすい一品でしょう。
写真がびっしり掲載されている本にありがちなことですが、この本も例外無くバラッバラになります。
本の紙自体の重さで、背表紙から中身がバリバリと剥がれ落ちてしまうんですね。
ですが、中身を鑑賞することに関しては全然影響はありませんので、気にしないことです。

予断ですが、私はこの本を読んだおかげで、ぶっ散らかった部屋でも堂々と都会生活を満喫できるようになりました。
緊張感を持ってオシャレな都会生活を送りたい人には、この本はとてつもない安心感を与えてしまうので、注意してください。

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